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『カメラマンに立候補』 五十畑幸勇page6 ―― では、もし、市川監督が生きていて、もう一本撮るぞと言ったら、どんな映画を撮って欲しいですか。
時代劇。女性ものもいいけどね、女性ものは、「おはん」がトップだったからね。 ―― そういう意味も含めて、時代劇ですか。
時代劇だねぇ。今、だって、ないもの、昔みたいにね。だから、「椿三十郎」(1962年 黒澤明)じゃないけど、当たるので撮って欲しいな。「紋次郎」じゃあないけどさ。「股旅」もすごく当たったんだよね。あれは低予算だけど、時代なのかね、うまく乗ったのかね。ああいうの、かっこいいよ、面白いよ。あれは、監督らしいんだよね。メチャクチャっていうか、決まりの武士道じゃないだよね。逆に、「四十七人」は、あまり面白くない。あれは、お祭りごとだから、しょうがない。はまっちゃっているんだよね。はまっていてもいいんだけど、崩したいところがないんだよ。教科書じゃないけど、そういう見方ができちゃう。まあ、「忠臣蔵」だからしょうがないけどね。健さんじゃなかったら、撮れなかったかもしれない、企画が通らない。俺が良かったのは、吉良役の西村晃さん。あそこは良かったなあ。嫌らしい役やっているんだけど、なんかホッとするっていうか。 ―― では、最後に、五十畑さんにとって、市川崑監督とは?
市川さんが亡くなって気付くのは、監督と仕事をして、作品をつくるとはどういう事なのか、その姿勢を身をもって体験出来たこと、有り難さです。 ―― ロケハンエピソードとか、衣裳のこととかだけでも話ができますね。 話せるよ。衣裳の選び方。今いないじゃない、昔のあれだけの、見分け方。絶対、ナイロン駄目だもんね。光っちゃうから。そうなると、昔のいいものになっていく。それを映すのは大変。とけ込んじゃうからさ。ナイロンだと反射するけど、いいものは光を吸収しちゃうんだよね。だから、照明いっぱい当てないと、まして紫なんかは、いっぱい当てないと色が出ないんだよ。ベタベタ当てたらまた怒られるし、ちゃんと角度が。がーんと当てたら駄目。 (了) |
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