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スタッフのお話、作品の詳しい解説など、いろいろな話題からピックアップしてご紹介します。
『カメラマンに立候補』 五十畑幸勇page5 ―― 市川組で、大変だと思うこと、苦労はなんですか。
苦労ってのは感じない。監督の誘導、指示にのっとって動くから。 ―― 監督とカメラマンの関係は、亭主と女房にたとえられたりしますが。 そう、まったくそう。だから、それがね、スタッフが吃驚するんだよ。「なんで分かるの?」って。目とかね、ちょっとしたことで、教えてくれるんだよ、俺に。口で言わないけど、態度とか目で合図を送ってくる。阿吽の呼吸じゃないけどさ、その辺はすごく合っていたから、分かるんだよね。 ―― 監督は、本番いく前とかに、俳優さんに何かささいやいたりしますが、その内容は、カメラマンも知らない…。
それは、知らない。知ろうともしない。分かるから。役者が変わってくる、画の中で変わってくる。ああ、これは入ったな、これは脈が入ってきてるなとか分かる、カメラ覗いてて、伝わってくる。あれは不思議なもんだよ。これは絶対に伝わってくる、フィルムに伝わってくる。 ―― 少し質問の趣きが変わりますが、五十畑さんが好きな市川作品は…。
「プーサン」、良かったねえ。「ビルマの竪琴」、「悪魔の手毬唄」、それで、しょうがないね、「おはん」。それと「映画女優」、良かったよ、最高だよ。 ―― 最初は、台詞が少しやくざの親分調で、監督が直していったと聞きました。
そうそう。やくざ映画のイメージがすごくあるから、監督も大変だったと思うよ。だって、最初、取り巻きが6、7人いるんだよ。へたしたら、10人くらい、ワゴン車2台で。朝10時ぐらいに、スタッフに「まんじゅう、まんじゅう」って、自分も食べたいからね。本当に、まんじゅう好きなんだよね。3時ならいいよ、10時だよ。でも、後半になったら、2人ぐらい。分かったんだね、雰囲気が。「火の鳥」のときは、一日待たせちゃったから、怒ったよ。阿蘇で、3時ごろいけるかなと思ったんだけど駄目でね、助監督は整列させられて怒られたね。 |
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