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劇場公開作品をご紹介します。
STAFF 1945年、華北。引き揚げの喧噪の最中、慰安婦の秋子と軍医の関は出会い愛し合う。秋子は、どこまでも関についていくと心に決めていたが、爆撃が二人を散り散りにする。五年後の神戸。製薬会社研究員の関は、軍隊の部下・小田切の家に寄寓し、秋子を捜し続けていた。偶然にも、再会を果たす秋子と関。だが、関は、爆撃の怪我で失明の危機に瀕していた。突然倒れた関を秋子は自分のアパートへ連れて行く。秋子は関と支え合いながら生きることを望むが、関の絶望は大きく、関は秋子の元を去る。小田切が闇商売で逮捕され、関は闇屋の亀山に仕事を手伝うことを条件に保釈金を借りる。小田切はそれを知らず、亀山に保釈金の代償と騙され、走る貨車に飛び乗る危険な仕事を引き受ける。関の為にかたぎになろうとし、関の治療代の為に身を売ろうともした秋子は、別人のように打ちひしがれていた。親友のぎんは、小田切に力を借りもう一度二人を会わせようと尽力する。関は秋子と会い、必ず戻ると約束し小田切を救う為に出かける。未明の線路、仕事に取りかかろうとしている小田切を関は必死に止めようとし、黒煙を吐く貨車に轢かれる。秋子は関の帰りを心待ちにしている。線路に、夜来香(いえらいしゃん)の押し花が落ちている。二人の思い出の花である。 モノクロ スタンダード 83分
STAFF ある昼下がり、誠一が小田切家を訪れる。誠一は小田切家の娘・京子の幼なじみ。だが、京子は他家へ嫁ぎ、もうこの家にはいない。京子は結婚式の前日、独身最後のデートに誠一を誘った。映画やスケート、ダンスを楽しみ、誠一は時折、腕時計を見ては京子の帰り時間を気にしていた。京子は、そんな誠一から時計を取り上げた。誠一が結婚すると不幸になるのではないかと聞くと、京子は今日この一日を楽しく終らせたいだけと言った。知らぬまに時間が経ち、二人は終電車に乗り遅れタクシーもつかまらない。京子は、出がけに父が渡してくれたサイフの中に通帳と印鑑が入っているのに気づく。何を思って父はこのサイフを渡したのか…。京子は、二人で何処かに泊まろうと言い、自分の気持ちを打ち明けようとするが、誠一はそれを遮る。今日京子が言うことを信じてはいけない気がする、と誠一は言う。そして、恋人たちは夜道を歩いて帰った。空き部屋となった京子の部屋で佇む誠一。京子は今、新婚旅行に行っている。楽しげに出かけて行った。京子の思い出を連れて来た誠一が帰り、父と母は茶の間で二人、若者たちの心に思いを馳せる。 モノクロ スタンダード 70分
STAFF 子爵家の妾腹の子・戸張は、愛するバーの女給・葉子を捨て、戸籍を抹消してスパイになった。一介のサラリーマンだった桜井は、葉子と結婚し、戦争になると諜報部隊の一員となりマレーに赴いた。そこで、戸張と桜井は偶然再会した。諜略という麻薬に取り憑かれ、桜井は人が変わった。戸張は、桜井が金の為に部下の下阪を殺すのを目撃した。終戦になり、桜井は内地でキャバレーのマスターになっている。情婦の春江は下阪の妻だった女である。キャバレーに戸張が桜井を訪ねてくる。無国籍者の戸張に帰る国はないが、戸張は葉子に詫びる為に帰って来た。桜井は、戸張が大金を持っていることに気づく。千夜子という娘がストリッパーの面接に来て、桜井は用心棒を刑事に仕立て、千夜子が裸になるところへ手入れに踏み込ませる芝居を仕組む。戸張は刑事を恐れ金を桜井に預けた。男達の会話から下阪の死の真相を知った春江は、戸張に金を返し葉子の居所を教え、桜井もろとも死ぬ。戸張は葉子に会い、葉子の妹の千夜子が桜井の店にいると伝える。葉子はすぐさま駆けつけるが、千夜子は既に桜井に犯されていた。戸張は命がけで貯めた金を葉子に渡す。だが、葉子は受け取らず、戸張が魂の故郷を取り戻したならまた会うことがあるかもしれないと言う。戸張は、ありがとうと静かに去る。 モノクロ スタンダード 85分
STAFF 劇団が解散し失業したダンサーの蟹良子。ルームメイトと純潔堅守の誓いを立てる良子は、純潔を守ってお腹を満たすすべをあれこれ考え、熱烈なファンの銀行専務・阿久根に求婚する。と、阿久根は、結婚はくだらない、とあっさり断り、恋愛がしたい、きっと良子の愛を勝ち取ると息巻く。人生はスポーツ、良子の為なら何でもする、出来ないことはない、良子が売れない画家の婚約者に困っているとしたら、彼を一流の画家にしてみせる、人生ゲームで負けなし!、ともの凄い自信の阿久根に頭に来た良子は、公園で三文画家の三田を捕まえ、婚約者と偽って阿久根と駆け引きを始める。三田は、阿久根の力で有名画廊で個展を開き一躍注目を浴びる。が、巨匠・宗方画伯の酷評を聞き、絶望。良子が金力で出来ない事もあると阿久根に詰めよると、阿久根は宗方を抱き込み、三田は天才画家に。だが、事の真相を知った三田は苦しみ、三田を傷つけたと良子も苦しむ。阿久根は、一度失敗した結婚を拒みつつも良子への執着を募らせる。遂に良子に結婚を申し込む阿久根。が、自分の狡さを知った良子は三田と結婚したいと断る。三田は良子を許し、売れない画家でいいならとプロポーズ。良子を描いた三田の絵は、良子の純情さと狡さを捉え、宗方も認める"本物"になっていた。阿久根の次なるチャレンジは鮎釣りである。 モノクロ スタンダード 89分
STAFF 1945年、ジャワ。美しい娘サリヤは、父のスヘルマンと母のアイシャ、妹のカルティニと暮らし、日本軍で酷使されて死んだ兄の代わりに広大なサトウキビ畑で働く。ある日この家に、脱走兵の深見、武、野呂がやってくる。野呂はマラリヤにかかっていた。サリヤは、兄の死以来日本人を嫌っていたが、野呂の家族の写真を見ると大事な首飾りを売って野呂の薬を買った。深見は、密告されると疑っていたとサリヤに謝り、サリヤは深見に恋をする。三人が出発しようとする矢先、負傷した軍曹・小田切が現れ三人は見つかってしまう。スヘルマンは兵達に酒を振る舞い、サリヤは小田切が酔ううちに三人で逃げろと深見を促す。だが、深見はいずれ殺される命ならサリヤと一緒にいたいと拒む。酒に酔い小田切と武は打ち解けていた。その武が屋根から落ちて死に、小田切の脱走兵への気持ちは変化した。深見のマラリヤに気づいたのは小田切だった。憲兵の探索から二人を匿う小田切。だが、深見が見つかり、サリヤは深見を馬車に載せ逃げる。憲兵に追われ、深見は、サリヤを死なせまいと馬車から突き落とす。サリヤと小田切が見つめる中、深見を載せた馬車は渓谷に転落し、終戦を伝えに駆けつけた野呂は愕然とする。村を去る小田切と野呂を見送る姉妹。サリヤは泣き、そしてまた働く。 モノクロ スタンダード 93分
STAFF カナ子と作家志望の伊野は恋人同士。カナ子は、伊野が会社をクビにさせられたことに憤り、専務の中原に直談判をしようと中原の妻・鳥子を味方につけ会社に乗り込んだ。と、度胸の良さと口八丁ぶりが気に入られ、カナ子が会社に勤めることになった。中原と鳥子は結婚八年目の夫婦。子供はなく、鳥子は仕事人間の中原にいくらか不満を感じている。夫婦は結婚記念日に思い出の熱海に行くが、中原は仕事で急遽帰宅。熱海で会った奥様連に夫の浮気話を聞かされた鳥子が家に電話をしてみと、電話口から女の楽しそうな笑い声。中原はカナ子と徹夜で仕事をしていた。鳥子は二人の仲を疑い、夫婦は冷戦状態。鳥子の実家の料亭に出入りする芸者で、中原に秋波を送る菊奴がいらぬ告げ口をし、疑惑はどんどん膨らみ、遂に鳥子は離婚を宣言する。伊野は、カナ子に生活費を貰う鬱屈とカナ子への疑念、さらに恋愛小説の原稿の行き詰まりとで、カナ子と大喧嘩。カナ子は鳥子に、何故鳥子のつまらぬ嫉妬で自分たちが喧嘩しなきゃならないと喰ってかかる。鳥子の提案で、カナ子と伊野の仲人をする夫妻。若い二人のめでたい挙式を済ませ、夫婦は依然よそよそしく一つ家に別々に帰る。が、電話の笑い声の疑惑がさらりと解けて、折しもの停電に、夫婦はピタリと寄り添い仲直りのダンスを踊る。 モノクロ スタンダード 83分
STAFF 若原俊平は、庶務課勤務から社長秘書に大抜擢され、同僚から"ラッキーさん"と呼ばれるサラリーマン。出世を夢見て一途にサラリーマン社長の秋庭に仕え奮闘する。同じ秘書課の素子は、出世しか頭にないと批判はするも若原が好きである。大社長・奈良のご機嫌を取ろうと令嬢・由起子の結婚相手を捜す秋庭に頼まれ、若原と素子は由起子を招く運動会を企画する。由起子の目にとまろうと社員こぞって張り切るが、由起子は若原を気に入り、若原は時々由起子のお供をするようになる。ある時、若原は秋庭と愛人との密会旅行の手はずを任せられていたが、由起子の呼出しで出かけ、由起子が身分に拘る態度を嫌うので、若原も身分を忘れデートを楽しむ。が、その留守にアクシデントは起こり、秋庭の密会旅行が夫人との親睦旅行になってしまった。若原はクビが飛ぶと素子に八つ当たりし、傷つく素子は、若原の後輩・近藤に慰められる。ご機嫌の秋庭夫人に免じて首はつながるが、由起子が銀行の令息との縁談を決めたという知らせに若原はショックを受ける。由起子は、若原が好きだが自分は平凡なブルジョア夫人になるのがふさわしい、と言う。人事異動で、若原は四国の工場所長になる。母に頑張って勤めると手紙を書く。同僚が駅で若原を見送るが、映画館で近藤相手にもう若原は戻らないと泣く素子は来ない。汽車の中、ラッキーさんは、えらそうに煙草をふかしてみる。 モノクロ スタンダード 84分 * 作品タイトル欄の社名等は、映画制作当時の製作者です。
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