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劇場公開作品をご紹介します。
STAFF 昭和7年。天城の月琴の里、大道寺家の別荘の密室で、大道寺琴絵の恋人・仁志が殺された。琴絵は仁志の子を妊娠しており、仁志は結婚を家族に反対され琴絵と揉めていた。家庭教師の神尾秀子らの手により事件は事故と偽装され、琴絵は智子を産んだ。智子が3歳になった時、仁志と恋敵だった速水銀造は、琴絵の婿養子になった。琴絵の希望で、銀造は蔦代という女性と京都の大道寺邸を守り、琴絵は智子、秀子とともに月琴の里で暮らし、ほどなくして病死した。そして昭和27年。月琴の里の大道寺家の時計台で、智子の求婚者の遊佐が殺される。その日は智子の19歳の誕生日である。その日を期に智子は京都に戻ると決められており月琴の里には大道寺家一同が集っていた。智子には、遊佐の他に赤根崎と駒井という求婚者があり、正体不明の青年・多門も智子の周辺をうろついていた。月琴の里の山道を、農夫のリヤカーに乗り金田一耕助がやって来る。京都のとある人物の元に警告状が届き、調査を依頼されたのである。警告状には、智子が京都へ来ると19年前同様に血が流れる、琴絵も智子もむらがる男の命を脅かす女王蜂である、とあった。智子が京都に転居すると、第二の殺人が起こった。華族・東小路隆子が主宰する野立ての席で赤根崎が毒殺されたのだ。金田一は、過去の密室殺人の謎を解き二つの事件の真相を明かす。事件の背後には、女王蜂の周りで不幸な愛を生き続けた男と女の物語があった。 カラー 1:1.5ワイド 140分
STAFF ヤマタイ国の女王ヒミコは、永遠に国王の座に君臨すべく、生き血を飲めば不老不死が得られるという火の鳥を手に入れようとしていた。マツロの国の国王は、国をヤマタイの攻撃から守る為、火の鳥の射手・天弓彦をヒミコに差し出し、クマソの長は、娘のヒナクを病から救う為に火の鳥を追っていた。だが、マツロは大陸からやって来たジンギに滅ぼされ、クマソはヤマタイの猿田彦に攻められ滅す。マツロの踊り子・ウズメはジンギの囚われ人となり、ヒナクは、病を治したヤマタイの斥候・グズリと夫婦になりクマソで生き延びる。ヒナクの弟で少年のナギは、猿田彦がヤマタイに連れ帰った。ヤマタイの国力は強かったが、ヒミコの圧政に民の不満はくすぶる。忠言する弟のスサノオを、ヒミコは目を潰して放逐した。厚い忠誠を誓う猿田彦もヒミコ暗殺を企てたナギをかばい追われる身となる。猿田彦とナギはクマソへ逃れ、ヒミコの命令で猿田彦の命を狙う天弓彦が追う。ナギの助太刀で猿田彦と天弓彦の一騎打ちは成らず、天弓彦は猿田彦の願いをききナギに火の鳥の血を飲ませる約束をする。猿田彦とナギの間にはいつしか父子のような愛情が育まれていた。クマソにはヤマタイ攻略を図るジンギの軍勢が居た。二人はジンギに捕えられ、その命をウズメが救う。ヒミコは、火の鳥が棲むクマソの火山に乗り込み、大噴火に遭って重い病に陥る。そして、遂に天弓彦が火の鳥を捕えた時、絶命する。ヤマタイはジンギに攻められ、猿田彦も天弓彦も闘い果て、国は滅びる。だが、猿田彦の子を宿すウズメはジンギを逃れ生き続ける。ナギは、天弓彦から火の鳥を埋めた場所を教わっていたが、その血はすでに干涸びていた。ナギがジンギの兵に刺されると、落雷が大木を火に包む。ナギは火の鳥を抱え火の中に飛び込む。ナギの体は炎の中に消え、火の鳥が甦り舞い上がる。…時が経ち、火の鳥は、クマソの住処に戻って来る。その奥深い洞窟の底には、そこで産まれ青年となったヒナクとグズリの子・タケルが生きている。タケルは洞窟を出て外の世界に踏み出す決心をする。挫けるタケルに火の鳥は生きろと言う。命は連綿と受け継がれ、国の礎・タケルは、遂に美しい山々が連なる外の世界へと踏み出す。 カラー 1:1.5ワイド 137分
STAFF 昭和26年。アメリカへ旅立つ金田一耕助は、別れの挨拶にとある老推理作家の家を訪ねた。老推理作家に町の古い写真館を教えられパスポート写真を撮りに行くと、店主の徳兵衛に調査を依頼された。命を狙われていると徳兵衛は言う。金田一と入れ替わりに写真館に美しい謎めいた娘がやって来る。娘は、婚礼写真の出張撮影を注文した。写真館若主の直吉は、病院を経営する法眼家の空屋敷に連れて行かれ、天井から風鈴を吊り下げ、花嫁の目は虚ろという奇妙な婚礼写真を撮る。翌晩、再び女から風鈴を撮ってくれと依頼があり、直吉らは徳兵衛に会いに来ていた金田一とともに空屋敷へ向かう。"病院坂の首縊りの家"と呼ばれているその屋敷…、天井にぶらさがっていたのは、風鈴に仕立てられた花婿の生首だった。徳兵衛は、写真の花嫁は法眼家の主・弥生の娘の由香利だというが、弥生は、由香利は家にいると否定する。警察の捜査で、花婿と花嫁は進駐軍キャンプを巡るジャズバンドの山内敏男とその腹違いの妹の小雪とわかる。21年前、屋敷で首を縊った山内冬子の子供である。小雪の父は、弥生の亡くなった夫・法眼琢也。生き写しの由香利と小雪、法眼家にいる由香利は果たして本当に由香利なのか。徳兵衛、バンドメンバーの吉沢が殺され、直吉も命を狙われる。犯人の目的は一体何か。写真館の暗室に眠る古い写真の乾板のみが、犯人が背負った哀しい過去を知っている。 カラー 1:1.5ワイド 139分
STAFF 昭和29年。京都で呉服問屋を営む佐田太吉郎と妻・しげの娘・千重子は、ある時、幼なじみの真一に自分は捨て子だと告白する。昔気質の父と優しく少し暢気な母と幸せに暮らす千重子だが、娘盛りの心は揺れていた。千重子は、北山杉の山で、自分と良く似た村の娘の姿を見、祇園祭りの夜、その娘・苗子と出会う。苗子は、初めて会う千重子を姉さんと呼んだ。苗子は、双子で生まれ生き別れになった姉をずっと捜していたという。父母は早くに亡くなり、苗子は奉公に出て杉山で働いている。千重子は、20年前、店の前に捨て子されていたのを子の無い太吉郎夫婦が拾い大事に育ててきた。祭りの夜以来様子がおかしいと心配するしげに、千重子は苗子との出会いを打ち明ける。千重子は、自分と生き写しの苗子の言葉を信じ、太吉郎夫婦はそんな娘を案じる。捨てられた姉の幸せを願い続けてきた苗子は、自分が現れたことで千重子に迷惑が掛かるのを恐れ、会いたい気持ちを押さえていた。苗子の心を知る樵夫・清作の計らいで二人は再会を果たし、千重子は、姿ばかりではなく自律的な心も良く似た苗子を知る。千重子は、幸せを分かち合い一緒に暮らしたいと望むが、苗子はそれを拒む。千重子の強い願いで、一晩だけ佐田の家に泊まりに来る苗子。二人の娘を見て太吉郎としげの一切の疑心は溶け、夫婦は娘たちを見守る。千重子と苗子は味わったことのない幸せな時を過ごし、千恵子は、まだ誰にも言っていない真一の兄・竜助に嫁ぐ決心を打ち明ける。竜助の人柄に接し、千恵子は人生を共に生きる相手と決めた。翌未明、苗子は人目を避けて帰って行き、千重子は母に縋って泣く。 カラー 1:1.5ワイド 125分
STAFF 城北署刑事課の北に、大学生の恋人・庭子から待ち合わせに遅れると電話が掛かる。その昼下がり、野呂は事件発生の電話を受けた。非番の村上はアパートで家事と子供の世話をしていた。姉の信、弟の勉の二人の子供、妻は一ヶ月程前に家を出た。事件は、都内の書店での銃乱射事件。被害者の一人は庭子であった。庭子と雨宮という中年男性が死亡、重傷の遠藤も搬送された病院で"うどうや"と言い残して死んだ。捜査が始まり、野呂は村上の家庭を案じる。母親不在の家庭で、小学生の信は家事をこなし勉の世話をする。村上が子供を置いて出て行った妻への不満を漏らすと、信と勉は強く反抗した。村上には妻が出て行った理由が分からない。被害者三人に繋がりはなく、犯人が誰を狙ったのか不明である。被害者の周辺を調べていくと彼等の生活が見えて来た。大学教授で子沢山の雨宮、会社勤めに不安を抱き妻に内緒で脱サラを考えていた遠藤。そして、父・長作と暮らす庭子の別れた母のこと、福祉センターのアルバイトで知り合った車崎るい親子のこと。これらは北の知らないことだった。るいの15歳の娘・みどりが、妊娠中絶による出血多量で河原で遺体となって発見された。庭子は、車崎親子の深刻な問題に深く関わっていた。そして偶然事件に巻き込まれ命を落とした。北は、庭子のことを十分に知らず支えられなかったことを悔やむ。村上もまた、妻と子供のことをよく知らずにいたと感じている。村上は、親としての自分、夫としての自分を考え、妻の気持ちを考えた。捜査は、遠藤が前借りした退職金の行方、遺した言葉をヒントに急展開する。事件が解決したら妻に会いに行くと決心し仕事への思いも新たにする村上は、自分を頼りとする信と勉の心に触れ二人を抱きしめ父親であることを噛み締める。犯人を追って、村上と北は島根へ向かう。 カラー(「シルバー・カラー」現像) ビスタ 106分
STAFF 昭和13年の春。恒例の花見の席に蒔岡家の四姉妹が揃う。蒔岡は船場の名家で、長女の鶴子が婿養子の辰雄と大阪上本町の本家を守っている。時代の趨勢で辰雄は船場の店を手放し銀行に勤めている。芦屋の分家は、次女の幸子とやはり婿養子の貞之助が守り、三女・雪子と四女・妙子が同居している。5年前、妙子は船場の貴金属商の放蕩息子・啓三郎と駆け落ちし新聞に書かれ騒動になった。新聞は妙子の名を雪子と間違えた。その時の辰雄の対応が不満で雪子と妙子は本家を出、このことは本家と分家の間に齟齬を生じさせた。蒔岡家の目下の一大関心事は雪子の縁談である。古風でいて芯が強く頑固な雪子は、適った男性と出会えず幾度も見合いを重ねていた。そして、皆が雪子の縁談に気を取られる中、奔放な妙子は、人形づくりに熱を入れ、啓三郎からカメラマンの板倉に心を移していた。幸子と貞之助は妹たちに翻弄され、だが、幸子の癇癪の原因は貞之助の雪子に対する深密すぎる態度にもあった。秋になって、辰雄に東京転勤の話が持ち上がり、鶴子は蒔岡の本家が大阪を離れるという一大決心を迫られる。戦争の気配が高まり、蒔岡の家にも時代の幕引きがなされようとしていた。妙子は板倉を病気で亡くし、雪子の縁談はまだ決まらない。鶴子は、本家のこだわりを捨て、皆の反感を買いながらも一族の生活を維持しようと努めて来た辰雄の気持ちを汲み東京行きを決める。年が変わり、細雪の舞う旅立ちの日。鶴子を見送る雪子の傍らには、遂に巡り会った気に染む相手、華族の東谷の姿がある。妙子は心の底から愛し合える三好と出会い新しい暮らしを始めている。涙の別れを嫌った幸子は、妙子の粗末な下宿で鶴子を送り、いろいろあっても何も変わらない人間の営みを思う。貞之助は雪子の結婚にひとり涙する。 カラー ビスタ 140分
STAFF おはんと幸吉は夫婦であったが、幸吉がおかよという女をつくった為に別れることになった。別れの日、おはんは、母の言いなりに実家に戻ることを幸吉に詫びた。おかよは二人の抱え妓を持つ芸妓で、一途に幸吉を好いていた。幸吉とおかよが共に暮らして七年が経ったある日、偶然に幸吉とおはんは再会し、逢瀬を重ねるようになった。おはんは、おかよに済まないと思いながらも幸吉と愛し合う喜びにふるえ、幸吉は二人の女の間をどっちつかずに彷徨っていた。おはんには悟という別れてから産まれた幸吉の子がある。ある時幸吉が商う古道具屋に悟がやって来て、幸吉は父と名乗らず悟と接するうちに親子一緒に暮らしたいと思うようになった。その頃、おかよは姪のお仙を一人前の芸妓に仕上げようと夢中になっていた。幸吉とおはんは人里離れた家を借りた。幸吉はおかよも納得していると嘘をついた。新居で親子三人が初めて会おうという日、おはんの心は踊っていたが、山道を一人で新居に向かっていた悟は淵から転落し命を落とす。幸吉は、おはんの実家に駆けつけ、悟の亡骸の前で因果応報と泣き崩れる。おかよは、この時はじめてお仙から二人のことを知らされ激しく怒り動揺した。おかよは愛し合い一緒にいられるだけで幸せと尽くして来た。おかよはおはんの実家に乗り込み、二人の女は幸吉を間に初めて対峙した。おかよは毅然と七年の絆の深さを言い募り、おはんは自分の浅い心でおかよを悲しませたと詫びた。おかよは幸吉を取り戻すが、心は鬱々と塞いだままだった。幸吉におはんの手紙が届く。ひと言も幸吉を責める言葉はなく、愛された幸せとおかよへの詫び、実家を出てひとり何処かで暮らすことなどが切々と綴られていた。おかよはおはんの真情に衝撃を受ける。好きな男を決して譲らぬおかよと、身を引いて愛を貫き男の心に鮮やかな姿を刻むおはん。二人の有り様はひとつ女の心情でもあった。 カラー ビスタ 112分 * 作品タイトル欄の社名等は、映画制作当時の製作者です。
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